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【活動報告】9月20日(金)~21日(土) 「株式会社 丸本」訪問

りっぷる10月号(202号)4面の取材で、9/21(金)~21日(土)に『丹精國鶏』や鶏肉加工品の生産者の「㈱丸本」(徳島県海部町)と国産鶏種「はりま」(以下、はりま)の契約農家のお一人である瀧本さんの農場を訪問しました。紙面では書ききれなかった見たこと、聞いたこと、わかったことなどをお伝えしたいと思います。

日本で飼育されている鶏の98%はイギリス・アメリカで開発されたヒナを輸入したものです。市販で国産といっても、そのひいおじいさんやひいおばあさん(原原鶏種)は輸入に頼っています。海外に頼るということは、鳥インフルエンザなどでヒナの輸入がストップすれば日本で鶏肉が生産できなくなり食べられなくなるおそれがあります。
「はりま」は「(独)家畜改良センター兵庫牧場」(兵庫県たつの市)で代々飼われている鶏種で、日本の気候、風土の中で長年にわたって改良されてきた国内で再生産できるブロイラー種です。エスコープ大阪では種からの国内自給を確立していくために、2006年より「はりま」に取り組んでおり、カタログでは『丹精國鶏』というブランドで供給しています。
9月20日(金) 生産農家の瀧本さんの農場訪問
瀧本さんとは14年前の「はりま」導入の時からのおつきあいです。農場には入雛(ヒナを鶏舎に入れること)から16日齢のヒナ5700羽が3棟に分けて飼育されていました。ちょうどひよこの毛が抜けてニワトリらしい羽に生え変わり始める頃で、手羽の部分だけニワトリの羽が生えているという初めて見る姿でした。最初は私たちに驚き鶏舎の奥の方に逃げていきましたが、すぐに近づいてきてこちらをうかがうように網の中から見ているヒナもいました。同行してくれた、丸本のグループで「はりま」の肥育管理や鶏の解体加工などをおこなっているオンダン農業協同組合(以下、オンダン農協)の肥育管理 係長の田倉さんによると、ヒナが人懐っこいのは瀧本さんが普段からこまめに鶏舎を見回り、丁寧に育てられている証拠とのこと。 

国産鶏種「はりま」

入雛16日齢のはりまのヒナ
鶏の飲料水は谷水を利用しますが、きちんと消毒されていることに驚きました。「はりま」はよく水を飲むそうで、「足りなくなったらかわいそうやろ」と鶏舎の向かいにある山の斜面に飲料水を貯めておく大きなタンクが2つも置いてありました。体調管理が非常に重要で、瀧本さんは鳴き声だけで異常がないか判断できるといいます。それでも他の鶏種に比べて「はりま」はおっとりした性格なので、育てやすいとのことでした。

ゆったりとした環境で育てられています
「はりま」導入のきっかけは、純国産の鶏を飼料も徳島県産の米だけで育てたいという丸本の会長だった故・丸本昌男さんの思いからでした。肉色は白っぽくもちもちした食感で、チラシの取り組みで200羽弱から供給が始まったそうです。2006年から本格的な「はりま」の導入が始まり、初回の出荷は大成功でしたが、2回目、3回目の出荷の時からバタバタと死んでしまい、これはもう無理かとあきらめかけたと田倉さんは振り返って話してくださいました。しかし、瀧本さんは以前「阿波尾鶏」※導入の時も同じような苦労があり、試行錯誤を繰り返しながら育ててきた経験があったので、「また同じように自分の手でつくり上げる経験をしたい」と思われたそうです。

「はりま」の生産農家の瀧本さん
生産農家のそのような言葉を聞き、田倉さんは大変感動し、勇気をもらったそうです。「あの時は大変やったけど、「はりま」の特性を理解し、さまざまな対策をして、今は成長して出荷できるのは96%までいくようになった。」「1㎏体重を増やすのに以前は2.6㎏のえさがいるところが、今は2.2㎏でよくなった」と瀧本さんも当時を振り返られました。

時間をかけて改良を重ね、今の「はりま」があります。82歳には見えない瀧本さんの若々しさとアグレッシブな挑戦心に心を奪われました。丁寧に育てられた「はりま」をこれからも食べ続けていくためにも、もっとたくさんの人で食べていきましょう。

※「阿波尾鶏」…徳島県で飼育されている出荷数、シェア共にトップクラスの品種

 
9月21日(土) ㈱丸本の本社工場見学
鳥インフルエンザの流行時期の10月~翌年の春までは工場や農場には見学に入れないということで、今回は滑り込みでの丸本本社工場への訪問となりました。工場の入り口ではタイヤを洗って、消毒してからの入場となります。10月以降は車体も洗われるそうで、入念に外部からの菌の持ち込みに対して対応されています。

獣医師による検査や丁寧な内臓
の処理がおこなわれています
まず始めに見学したのは第一工場で、瀧本さんのような契約農家や自社農場から丸本グループのオンダン農協に生鶏が入り、第一工場で解体処理や袋詰め、出荷までされています。解体作業はオートメーション化されていて、みるみるうちに部位ごとにばらされていく速さと勢いには圧倒されました。
かなりオートメーション化されていますが、まだまだたくさんの人の手も入っており、解体された肉は人の手で余分な部位を取り除きながら成形されていき私たちの手元に届くお肉の形に変わっていきます。

第一工場では解体処理される前に獣医師による検査があり、病気があれば不良として解体されません。健康な鶏が新鮮なうちに解体処理され冷凍や次の加工場で鶏肉加工品になっていました。加工品開発も積極的で年間2000アイテムほど開発しているそうです。

部位ごとに解体する機械「トリダス」


解体された肉を手早く成形  手羽先の処理
生活クラブ連合会で『丹精國鶏』として食べている「はりま」ですが、「はりま」の鶏種を維持して食べ続けていくためには、年間最低200万羽の消費が必要です。現在は150万羽ほど消費していますが、まだまだ足りません。一般市場の鶏肉との違いを理解し、これから先の食を考えたとき、種の自給を目的に自国で再生産可能な「はりま」を食べることはとても重要です。今回の訪問でさらに「はりま」が私たちにとって重要な鶏肉だと再確認できました。おいしい「はりま」を私たちでしっかり食べ、次の世代につなげていきましょう。

見覚えのある袋にパックされていきます



報告者:理事長 北辻美樹

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